ペルソナ5 ~レビュー~
文字どおり、夢に見るほど楽しみにしていたペルソナ。2008年にペルソナ4がでてから、実に8年ぶりのナンバリングタイトル。買うのは2年ほど遅れましたが。
今日までに様々なタイトルが発売されてきました。P4のリマスター、あるいは完全版、ペルソナ4 ザ・ゴールデン。スピンオフタイトル、ペルソナQ、そしてペルソナ4 ダンシングオールナイト、ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ…畑を変えれば、ペルソナ4 アニメーション、ペルソナ4 ザ・ゴールデン アニメーション…
一応Qもクリア済み。多少ならず世界樹寄りな所もあったので全てのペルソナファンにお勧めできるとは言えませんが、P3メンバーとP4メンバーが和気藹々と冒険している様はペルソナファンにとってはかなりのご馳走。食わず嫌いせずにプレイしてみる事をオススメします。
全てプレイしているわけでは無いのでハッキリしたことは言えませんが、少なくとも著しく出来の悪い作品は無い様です。シリーズ物のスピンオフとしてはかなり成功している部類では無いでしょうか。
しかし、それがファンとして必ずしも喜ばしいだけの事かと言われれば、正直答え辛いものがあります。勿論、自分が好きなシリーズが盛り上がっているのは嬉しい。しかし、一方でキングダムハーツという悪しき前例が存在するのも事実だからです。
<KHの業>
「なんか、ディズニーとFFのキャラが一緒に登場するゲームが出るらしいよ」いやいやいや、そんなことあるわけ無いじゃん。そんなステーキカツ丼セットハーゲンダッツ添えみたいな事あるわけ無いでしょと。発売されるまでは半信半疑でしたね、当時。
ディズニーと言えば全世界の子供達が幼い頃から慣れ親しんでいる映画界の巨人。一方、FFもまたゲーム好きにとってのゲーム界のタイタン。盆と正月と夏休みと冬休みが一緒に来るようなもんですよ。そうそう信じられるものではありません。当時はリアルタイムに情報を追える様な環境が整っていなかったですからね。
ディズニー映画のキャラクターとFFのキャラクターが、自分の操作するキャラクターと同じ空間に居るという衝撃。いっそ脳に混乱が齎される程のカオス。まさに夢の様なゲームでした。
考えてみると、僕がアクションRPGというジャンルに初めて触れたのもまたキングダムハーツでした。未だによく定義がわからないアクションRPGですが、キングダムハーツに限っては「RPGの様な骨太ストーリーのあるアクションゲーム」という認識です。その点でも革新的なゲームでしたね。
てな感じで、革新性ガン積みゲームだったキングダムハーツですが、僕は現在完全に彼に対する興味を失っております。ようやく3のトレーラーだか何だかがちょくちょく出たり出なかったりしている様ですが、もう全然興味無いです。もとい、興味無いね。
ズバリ、スピンオフ、それも本編のストーリー展開に直に関わるような物が大量に出過ぎて、流れを追いかけられなくなったからです。
wikipediaによると、
いや多いだろ
2005年にKH2が発売されてから10年で、これだけのゲームがバラバラのプラットフォームで出ている現実。今は、なんだろ、とりあえずPS3とPS4持ってれば一通りプレイ出来るんですかね。リアルタイムで追いかけられた強者は居るのだろうか…僕は358/2 Daysで早々に諦めました。PS2→GBA→DSってなんなんだ…
このガバガバスピンオフ商法さえなければ、もっとタイトにブランドを扱っていたら、KHシリーズはFFに並ぶ、あるいはひょっと超える存在になれていたんじゃないかなと今でも夢想してしまいます。この期におよんでKH3の発売日が未定なのが全てなのでしょうけど。
<無事発売されたペルソナ5>
KHの前例を鑑みて、似た様な雰囲気が漂い始めてたペルソナが同じく細切れにされていくのでは…?と危惧していたのは決して突飛という程理解出来ない発想ではないでしょう?
が、無難無事息災に発売。やったぜ。程度の差はあれ、同じ事を思っていたペルソナファンは少なくないはず。ナンバリングを余りにも出さないシリーズは死ぬんですよ。ほんと良かった。ほんとに。
この文をポチポチ入力してる時点で購入15日経過。約150時間程度プレイしています。まだ全クリしてないので確かな事は言えませんが、睡眠時間を削る余り体調を崩しかける位には面白いです。やっぱペルソナはいいなと。シミジミ感じます。
<正統進化>
良きにつけ悪しきにつけ、今回のペルソナはペルソナ4を彷彿とさせます。よく言えば堅実、悪く言えば保守的です。
限られた時間の中で、日常と非日常を如何に過ごしていくかという基本コンセプトをガッツリ踏襲してますからね。日常パート、戦闘パート、共にP3、P4からの大きな変化はありません。経験者の方は間違いなくすんなり入れるでしょう。
<戦闘より頭を使う日常パート>
一応シリーズ初体験の方の為に軽く語っておきますと、日常パートは基本的に放課後と夜の2回行動を選択できます。時には仲間と心通わせて絆を深め、時には汗水垂らしてバイトに励み、時には自らをストイックに鍛え上げる。その選択はプレイヤーに委ねられます。
来るべき困難に打ち克つ為には仲間との絆が欠かせないのは言うまでもありません。
しかし、絆を深める為にはただ一緒に過ごすだけではダメです。時には人一倍の優しさや勇気、器用さなんてモノまで求められます。自分を磨く事を怠らない、いつでも頼れるリーダーで居なければなりません。なんでも大魔神を目指しましょう、そして、お金は常に志の高い貴方の味方です。人付き合いにダンジョン攻略などなど、何かと入用になる事も多いので、常に自由に使えるお金を確保しておきましょう。
つまり、絆、人間力、時々金!の黄金トライアングルです。何も変わっていませんね。ペルソナ。安心しました。
常に実行可能で効果も一定である行動、常に実行可能だが時間帯や天気により効果が変わる行動、特定の曜日や期間のみ実行可能な行動が、それぞれ多数用意されています。限定性の高い行動の方が大きな効果が出ます。よって、最終的に求められるのは、「イベントで上昇する親密度やステータス、絆を深められるチャンス等を考慮、逆算した上で最大限の効率を発揮する行動計画を立てる為のプレイヤーのリアルスケジューリング能力」になります。が、まぁ、一週目はそんな事忘れて、やりたい事をやり、一緒に居たい人と居る事を強くオススメします。
ペルソナ初プレイの方でも、適度なバランスで行動を選んでいれば詰むことはないでしょうが、敢えて筋トレしまくる。敢えて杏ちゃんに粘着しまくる。竜司と今日も明日も走り続ける。自由に好き勝手やるのも悪くないもんですよ。
坂本竜司君。初期面子の一人。見た目はヤンキーだが、パーティの中ではどっちかというと弄られキャラ寄りの立ち位置。というか大体弄られている。一言で言って軽率で、トラブルメーカー的な側面を持っているアホの子だが、多分誰よりも情に厚い。自己保身という概念が存在しない為、頼めば愚痴を言いながら地獄まで付いてきてくれると思います。
高巻杏。アメリカ人とのクォーター。初期面子の一人。その日本人離れした容姿でモデル業をこなす英語ペラペラハイスクールハイスペックガール。が、コミュを進めていくと若干アホの子である事が判明する。お前もかよ。純真爛漫さを其処彼処に感じさせる事の裏返しとも言える。彼女と話してると心が洗われていくのを感じる…
<日常と非日常の狭間で>
攻略に要する時間もP4と同じく、SP(MPのようなポイント。スキル使用時に消費)基準で設定されていますね。先程述べた様に、スキルを使用し弱点をついて、一方的にボコボコにしていくのが基本戦略になりますので、SPの消費を避ける事は出来ません。すなわち、延々とダンジョンに潜る事は出来ないのです。ペルソナの特徴の一つとして、ダンジョン攻略中のSP回復手段が著しく乏しいのは経験者ならご存知の事でしょう
。
今作も例に漏れません。SPを回復するアイテムは敵からは殆どドロップせず、現実の世界でも僅かな量しか手に入りません。よって、必然的に一つのダンジョン複数回潜らなければなりません。しかし、ダンジョンに潜るとまるまる1日=2回分の行動を消費します。潜入すると非常にお疲れになるので、夜そのまま寝ちゃうんですね。ペルソナは心の力だからね。仕方ないね。
かといって、余りにダンジョンを放置しすぎると期限に間に合わずゲームオーバー。ここがペルソナ使いの腕の見せ所ですわ。如何にダンジョン攻略に要する日数を短くし、リアルの充実を図るか。これがペルソナ使いの至上命題と言っても過言ではない。なんかウェイウェイしてる大学生っぽいですね。単位を如何に労力を使わず取るかみたいな。
<怪盗と学生の二重生活>
ダンジョンと日常を目まぐるしく過ごすバランス配分が絶妙ですね。加えて表の顔が学生。裏の顔は怪盗というのが物凄く厨二心をくすぐります。
アトラスは本当にこの辺の設定上手いですよね。特別な力を持った心を盗む怪盗なんてもうその時点でカッコ良い。その正体は普通の進学校に通う高校生。カッコいい。只管にカッコいい。もうカッコいいを通り越してズルいとも言える。
二重生活は古来より厨二病患者の憧れ。裏の顔という響きだけで飯が食える。
怪盗、それも義賊としての側面を持つ怪盗としての物語はモロにピカレスク的ですし、そこに高校生活というジュブナイル要素がミックスして面白くないわけがない。ゲーム要素がストーリーとカッチリ噛み合ってるのもポイントですね。戦闘だけでもコミュだけでも立ち行かないシステムもまた、作品の二面性を体現しています。この辺の洗練されてる感じは他の作品では中々お目に掛かれません。
ちゃんとペルソナしてるペルソナというのがペルソナ5に対する僕の評価です。抑えるべき点をキチンと抑えて、確実にブラッシュアップしてある。ペルソナ好きには文句なしにお勧めできる出来です。
というわけでペルソナ5の感想をつらつら書いてきましたが次の記事はネタバレ込々の感想になるので未クリアor春からのアニメを見るというジョーカー各位は回れ右です。読んでくださってありがとうございました。